不適切教員への調査を市が行う権利を有するための機関を設置する。
タイトルを見てどういうことだと思われる方もいるかと思います。
この問題に着手したい背景には以下のことがあります。
全国で不登校児が年々増えているのはご存じでしょうか。
これまで不登校になった理由は、不登校の主な8つの原因とその対応方法のデータにあるように、本人の情緒不安、無気力、非行、家庭問題、友人関係などが占めていると公表されてきました。
しかし、最近になって全く違ったデータが公表された。
それが、多様な学びプロジェクトが実施した不登校の子どもを育てる保護者に聞いたアンケートによるもので、先生との関係や学校のシステムが合わないがダントツで多いのがわかります。
しかしネット記事の多くは、前者の本人の問題である記事が多く、それはそもそものデータを取る対象者が違っているためです。前者は担当教員や校長など、学校を通じて調査がなされ、さらに教育委員会から提出されたものだとすると、当事者である先生たちが原因だとは公表したくないのも納得がいきます。
たしかに無気力や情緒不安は一番かもしれませんが、それは原因ではなく、原因によってもたらされた二次的な症状にすぎません。その症状を引き起こした何かが解決されない限り、不安は決してなくなりません。
調べていて興味深かったのが文科省による令和2年度不登校児童生徒の実態調査によると、ここでは「先生のこと」が不登校のきっかけで一番多いことがわかります。この調査は以前の調査で無気力等のはっきりした起因が明確でないということで、調査の方法を先生や学校視点ではなく、本人や保護者視点で調査事業者が直接回収することで、ほんとの実態を文科省も知ることになったのでしょう。
多様な学びプロジェクトが実施したアンケートも保護者から直接回答されているもののため、不登校児本人の声であると言えることから、これをもとに対策を講じることで、これまでの変化のなかったところからの道筋が見えてきそうです。
とは言ってもそう簡単ではなく、根本要因を改善するためには、原因である先生や学校の在り方を見直していかなければならないならないわけです。
先生の人事配置や処遇については、県の権限です。教員の身分はあくまで学校を設置している市町村の職員ですが、採用や人事異動などを行う権限は、都道府県が握っています。これは、教員の給与を国が3分の1、都道府県が3分の2を負担し、市町村は一切関係していない、という仕組みのためのようです。
そうなると、問題があった先生の処遇については県に折り合って解決しなければならなくなりますが、体罰やセクハラ等よほど社会的に取り上げられる内容でない限り、学校や市教委が自ら調査をして改善させることは難しいでしょう。
不登校は本人の問題でしょ?という風潮がまだまだ根強い世の中、なんでもかんでも先生を批判するなと説教が飛んできそうです。
しかし事実は事実として、対処しなければ当事者である子どもたちのことはどうケアしていくのでしょうか。
先生が原因だとしても一方的に休職や退職を迫るものではなく、「言い方に傷ついた」「無視された」「自分ばかり叱られる」などそもそも先生でさえなにが悪かったのか気づいていないケースも多いと考えています。日々の忙しい業務の中でついイライラしていたとか、ひとりひとりへの配慮をする余裕がないという過剰労働の問題も大きいでしょう。
また学校のシステムと合わないことで不登校になった子は、「みんなと同じことを求められるのが苦痛」「服装や髪型の校則に納得できない」「クラスの雰囲気が合わない」「学校が求める学力についていけない」など、個性を出しにくい環境にあると言えるので、柔軟な対応がその学校にできるのか、時代に合わせた変革ができるのかが問われていきます。
そうした細かな調査とケアを実施するために、市の中に第三者調査機関を設置して、安心して学校へ行ける環境をいち早く実現する必要があります。
そうでないと、学生時代という貴重な時間に得られる様々な経験や感性を磨く機会を奪ばれることになるために、本人の将来に多大な影響をもたらしてしまうからです。
不登校についてわかるリンク
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